人からデータを集めるときの倫理
アンケート、インタビュー、実験など、授業の課題で人からデータを集めるときにも、研究と同じ倫理が求められます。協力者への説明と同意、参加をやめる自由、個人情報の守り方、データの保管と処分、授業の課題で確かめておくことを紹介します。
アンケートやインタビュー、実験で人からデータを集めるときは、協力してくれる人を守ることが何より大切です。この記事では、協力してくれる人を「協力者」と呼びます(実験や研究論文では、ふつう「参加者」と呼びます)。卒業論文などの研究では、多くの大学で、始める前に倫理審査を受けることが求められます(「研究計画書」)。授業の課題で行う小さな調査でも、考え方は同じです。
協力者に説明し、同意を得る
データを集める前に、協力者に次のことを説明し、協力するかどうかを本人に決めてもらいます。
- 何のための調査か(授業の課題であること、授業名)
- 何をしてもらうのか、どのくらいの時間がかかるのか
- 集めたデータを、どう使い、誰が見るのか(レポートに書く、授業で発表するなど)
- 名前などの個人情報を、どう扱うのか
- 協力するかどうかは自由で、途中でやめてもよいこと
アンケートなら、最初のページにこれらを書きます。インタビューなら、始める前に口頭や書面で説明し、録音してよいかも確かめます。
参加をやめる自由を守る
- 協力を断っても、途中でやめても、不利益がないようにする
- 答えたくない質問には、答えなくてよいことを伝える
- 友人や後輩に頼むときは、断りにくくならないよう、とくに気をつける
個人情報を守る
- 必要のない個人情報は集めない:名前や学籍番号が分析に必要ないなら、聞かない
- レポートでは、個人が特定できないように書く:名前は記号にし、所属や経歴などの細かい情報を組み合わせると誰かわかる場合は、ぼかす
- データを人に見せない:協力者に説明した範囲(グループの仲間や先生など)を除いて、回答の生のデータを、ほかの人に送ったり、公開したりしない
- AI に入力しない:協力者のデータを、同意の範囲を超えて AI のサービスに入力しない(「AI に入れてはいけない情報」)
データを保管し、処分する
- 回答用紙や録音のファイルは、鍵のかかる場所や、パスワードで守られた場所に保管する
- 授業が終わったあとにどう処分するかを、前もって決めておく(協力者に説明した内容のとおりにする)
- 共有のパソコンや、誰でも見られるクラウドの場所に置かない
気をつけたい調査の内容
次のような内容を扱う調査は、協力者に負担をかけたり、思わぬ形で傷つけたりするおそれがあります。授業の課題では避けるか、必ず事前に先生に相談してください。
- 健康や病気、家庭の事情、恋愛や性、宗教や政治の考えなど、立ち入った事柄
- 未成年の人を対象とする調査
- つらい経験を思い出させるような質問
授業の課題で確かめておくこと
- 人からデータを集めることが、課題として認められているか
- 協力者への説明の文と、同意の取り方を、先生に確かめたか
- 集める情報は、問いに答えるのに必要なものだけか
- データの保管の場所と、処分のしかたを決めたか
- レポートや発表で、協力者が特定されない書き方になっているか
データの扱いの不正(捏造・改竄)は、授業の課題でも許されません(「レポートの不正」)。調査レポートの書き方は「調査レポートの書き方」を見てください。