調査レポートの書き方:アンケートとインタビュー
社会学・教育学・心理学などでよく出される、アンケート(質問紙)やインタビューで調べて書くレポートの進め方です。調べることの決め方、質問の作り方、対象の集め方とその限界、結果の示し方、聞き取りの記録の扱い方を紹介します。
授業では、自分でアンケート(質問紙)をとったり、人に話を聞いたり(インタビュー)して、その結果をもとに書くレポートが出されることがあります。根拠の中心が自分で集めたデータである点で、実験レポートと近い文章です(「実験レポートの書き方」)。
人からデータを集めるときは、始める前に、倫理の面で気をつけることを必ず確かめてください(「人からデータを集めるときの倫理」)。
(この記事の例は、説明のための架空のものです。)
組み立て
調査レポートも、ふつうは IMRaD に近い組み立てで書きます(「IMRaD」)。
| 部分 | 書くこと |
|---|---|
| 序論(目的) | 何を明らかにするための調査か。先行研究や統計で何がわかっていて、何を確かめるのか |
| 方法 | 対象(誰に、何人に、どう集めたか)、調査の時期と方法、質問の内容 |
| 結果 | 集計の結果(数と割合、図表)、インタビューで語られたこと |
| 考察 | 結果が目的に照らして何を意味するか。調査の限界 |
調べることを決める
調査の質問は、問いを決めてから作ります。「大学生のアルバイトについて聞いてみよう」から始めると、聞きたいことが散らばり、結果から何も言えなくなります(「問いの立て方」)。
- 問い:アルバイトの時間が長い学生ほど、授業外の学習時間は短いか
- 確かめるために聞くこと:1週間のアルバイトの時間、1週間の授業外の学習時間、学年など
問いに答えるのに必要でない質問は、入れません。
アンケートの質問を作る
| 気をつけること | よくない例 | 直し方 |
|---|---|---|
| 一つの質問で、一つのことを聞く | 授業とアルバイトに満足していますか | 授業とアルバイトを別の質問にする |
| 答えを誘わない | アルバイトのしすぎは学業に悪いと思いますか | アルバイトは学業に影響していると思いますか(「よい影響がある」「悪い影響がある」「影響はない」「わからない」から選ぶ) |
| 言葉をはっきりさせる | よく勉強しますか | 1週間に、授業以外で何時間くらい勉強しますか |
| 選択肢にもれと重なりを作らない | 1〜5時間/5〜10時間 | 0時間/1〜4時間/5〜9時間/10時間以上 |
質問ができたら、本番の前に数人に答えてもらい、わかりにくい所がないかを確かめます(予備調査)。
対象の集め方と、その限界
授業の調査では、友人や同じ授業の受講者など、集めやすい人に答えてもらうことが多くなります。それ自体はかまいませんが、結果をどこまで広げて言えるかに限界が生まれます。
- 同じ大学・同じ学部の学生だけの結果を、「大学生は〜」と一般化しない
- 対象の集め方と人数を、方法に正確に書く
- 考察で、集め方の偏り(バイアス)が結果にどう影響しうるかに触れる(「日常と意味が違う言葉」)
結果を示す
- 数と割合の両方を示す:「72%(36名中26名)」のように。割合だけだと、何人のうちの割合かがわかりません
- 図表を使う:棒グラフや、二つの質問を組み合わせた表(クロス集計)など(「図と表の作り方」)
- 関係を言うときは慎重に:アルバイトの時間と学習時間に関係が見られても、一方が他方の原因だとは言えません(「誤謬」の「相関と因果の取り違え」)
- 結果と考察を分ける:結果には、データが示した事実だけを書く(「結果の書き方」)
インタビューの記録と引用
インタビューでは、聞いた内容が根拠になります。
- 記録する:相手の同意を得て録音し、あとで文字に起こす。録音できないときは、すぐにメモを整える
- 語られたことと、自分の解釈を分ける:「〜と語った」と、「これは〜を示していると考えられる」を区別して書く(「事実と意見を区別する」)
- 引用するときは、相手がわからないようにする:名前は「Aさん(3年生・飲食店でアルバイト)」のように記号にし、本人が特定される情報(勤め先、珍しい経歴など)は書かない
- 都合のよい語りだけを選ばない:自分の予想に合わない語りも取り上げ、どう考えるかを書く
語られた言葉をそのまま示すときは、かぎかっこでくくり、誰の語りかを添えます。
Aさんは「授業の前の日は、シフトを入れないようにしている」と語った。
データを変えない
予想と違う結果が出ても、回答を書き換えたり、都合の悪い回答を理由なく除いたりしてはいけません。除いた回答があれば、その数と理由を書きます(「レポートの不正」)。