研究計画書:研究の設計を言葉にする
研究計画書は、何を、なぜ、どうやって明らかにするのかを、実際に研究を始める前に書き出したものです。計画書に書く項目、方法と分析を先に決める理由、実現できるかの確かめ方、倫理的な配慮の書き方を紹介します。
研究計画書は、研究を始める前に、何を、なぜ、どうやって明らかにするのかを書き出したものです。指導教員と相談するとき、倫理審査を受けるとき、そして何より、自分の考えを確かめるために書きます。頭の中では決まっているつもりでも、書き出してみると、決まっていないことが見えてきます。
計画書に書く項目
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 題目(仮) | 何を調べる研究かがわかる、仮の題 |
| 問題(背景) | 先行研究で何がわかり、何がわかっていないか(「先行研究のまとめ方」) |
| 目的と仮説 | この研究で明らかにすること、予測(「仮説の立て方」) |
| 方法 | 参加者(人数・集め方)、材料、手続き、測るもの |
| 分析の計画 | どのデータを、どの方法で分析し、何が得られれば仮説が支持されたと言えるか |
| 倫理的な配慮 | 同意の取り方、個人情報やデータの扱い |
| 予定 | データの収集、分析、執筆の日程 |
| 引用文献 | 計画書の中で引用した文献 |
授業や学科で書式が決まっていれば、それに従います。
方法は、具体的に書く
方法は、計画書を読んだ人が「何をするのか」を思い描けるくらい具体的に書きます。
- 参加者は何人で、どうやって集めるか
- どんな材料(刺激、質問紙)を使い、それをどう用意するか
- 参加者に、どの順で、何をしてもらうか。一人あたりどのくらいの時間か
- 何を、どう測るか(「仮説の立て方」の操作的定義)
具体的に書けないところは、まだ決まっていないところです。指導教員に相談する点として、はっきり書いておきましょう。
分析は、データを集める前に決める
どう分析するかは、データを集める前に決めておきます。
- 仮説を確かめるために、どの条件のどの値を、どの方法で比べるか
- 分析から除くデータの基準(課題の指示に従わなかった場合など)
- 何人ほど集めれば、予測する大きさの差を見つけられそうか
データを見てから分析の方法や除く基準を決めると、望む結果が出る方法を選んでしまうおそれがあります。研究によっては、計画を前もって公開して記録しておく(事前登録)こともあります。結果を見てから仮説を変えないことと、考え方は同じです(「仮説の立て方」)。
実現できるかを確かめる
計画書を書いたら、本当に実行できるかを確かめます(「問いの立て方」の「答えられる問いに落とし込む」)。
- 時間:データの収集・分析・執筆が、提出までに終わるか
- 参加者:必要な人数を集められるか。いつ、どこで集めるか
- 材料と場所:使う機器や部屋、質問紙の使用の許可はあるか
- 倫理審査:審査にかかる期間を、日程に入れているか
倫理的な配慮を書く
人を対象にした研究では、参加者を守るための配慮を書きます。
- 研究の内容と、参加者に何をしてもらうかを、事前に説明すること
- 参加は自由で、途中でやめても不利益がないこと
- 同意を、どのような形で得るか
- 個人情報をどう守り、データをどこに、いつまで保管するか
- 参加者に負担や不快が生じうる場合、それをどう小さくするか
大学の倫理審査の書式があれば、それに沿って書きます。参加者のデータを AI のサービスに入力してよいかも、計画の段階で確かめておきます(「AI に入れてはいけない情報」)。審査で認められる前に、データを集め始めてはいけません。
計画は、変わってよい
研究を進めるうちに、計画を変える必要が出てくることはあります。そのときは、
- 指導教員と相談してから変える
- 何を、なぜ変えたのかを記録しておく
- 倫理審査を受けた内容を変えるときは、変更の手続きが必要か確かめる
計画と違うことをした場合は、論文の方法の節に、そのことを正直に書きます。とくに、データを見てから分析の方法を変えたときや、新しい仮説を思いついたときは、そのことを明記し、事前に立てた仮説の検証とは分けて報告します。事前に立てた仮説を、あとから書き換えてはいけません(「仮説の立て方」)。