レポートの不正:剽窃・捏造・改竄

学術的な文章で不正とされる剽窃・捏造・改竄とは何か、レポートでどんな形で起こりやすいかを紹介します。AI に書かせた文章がなぜ不正になりやすいのか、不正を防ぐための習慣もまとめました。

学術的な文章は、書かれていることが本当に確かめられるという信頼の上に成り立っています。その信頼を壊す行為が、不正です。研究の世界では、とくに重い不正として剽窃(盗用)・捏造・改竄の三つが挙げられ、文部科学省のガイドラインでも「特定不正行為」として定められています。

授業のレポートも、学術的な文章の一つです。レポートにこれらの不正があれば、どれほどよく書けていても、学術的な評価に値しません。

三つの不正

不正どういうことかレポートで起こりやすい形
剽窃(盗用)ほかの人の文章・考え・データを、出典を示さずに自分のものとして使うウェブの文章を写す、ほかの人のレポートを写す、外国語の文献を訳して出典を書かない、言い回しを少し変えただけで使う
捏造存在しないデータや結果、文献を作る行っていない調査の結果を書く、実在しない文献を挙げる、文献に書かれていないことを書かれているように示す
改竄データや結果、資料の内容を、都合のよいように変える予測に合わないデータを黙って除く、数字を書き換える、引用の一部を省いて意味を変える、条件つきの結果を条件を外して紹介する

三つとも、わざとでなくても不正と判断されることがあります。とくに剽窃は、どこかで読んだ考えを、いつのまにか自分の考えだと思い込んで書いてしまうことからも起こります(「「私」の視点と、私がいなくても成り立つ議論」)。「出典を書き忘れた」「うろ覚えで書いた」「よく確かめなかった」は、言い訳になりません。

ほかにも不正とされること

  • 代筆:ほかの人に書いてもらったものを、自分のものとして出す
  • 二重提出:一つのレポートを、許可なく別の授業にも出す(自分の文章でも認められないことがあります)
  • 共謀:一人で書くべき課題を、ほかの人と分担したり、写し合ったりする

どこまでが許されるかは、授業によって違います。グループでの話し合いや、過去のレポートの再利用が許されるかなど、迷ったら先生に確かめてください。

AI に書かせた文章が、不正になりやすい理由

AI の使い方のルールは授業によって違いますが、AI に本文を書かせることが問題になるのには、はっきりした理由が二つあります。

1. 自分で理解して書いたものではない

レポートは、書き手が内容を理解し、自分で考えたことを示すためのものです。AI に書かせた文章は、ほかの人に書いてもらった文章(代筆)と同じで、あなたの理解や考えを示していません。

2. 剽窃・捏造・改竄が、知らないうちに入り込む

AI がつくる文章には、次のような誤りが含まれることがあります。

  • 既存の文章と、ほとんど同じ文(剽窃)
  • 実在しない文献、存在しない数字や調査の結果、言われていない発言(捏造)
  • 文献の内容を取り違えた、あるいは誇張した要約(捏造・改竄)

しかも、こうした誤りはもっともらしい形で書かれるため、読んだだけでは気づけません。

AI に書かせたかどうかにかかわらず、提出した文章に剽窃・捏造・改竄があれば、それは学術的な評価に値しません。 そのため、単位を認めることもできません。「AI がまちがえた」は理由にならず、責任を負うのは提出した本人です。

つまり、AI を使うこと自体の可否とは別に、AI の出力を確かめずに使うと、それだけで不正のおそれを抱え込むことになります。AI との付き合い方は「AI を使った執筆の進め方」を読んでください。

不正と判断されたら

不正の扱いは大学の規程によって違いますが、そのレポートが0点になる、その科目の単位が認められない、同じ学期のほかの科目の単位まで取り消される、といった重い処分につながることがあります。卒業論文や学位論文では、学位が取り消されることもあります。

不正を防ぐ習慣

  • 読むときに出典を記録する:どの文献の何ページから得た情報かを、メモの段階で書いておく(「文献の読み方とノートの取り方」)
  • 引用するときは元の文献を確かめる:書かれている内容と、書かれていない内容を区別する(「根拠と引用」)
  • 自分の言葉で書く:理解したことを、資料を見ずに書いてから、資料と照らし合わせる(「言い換え(パラフレーズ)」)
  • データはそのまま残す:実験や調査のデータは、手を加える前のものを保存し、除いたデータがあれば理由とともに書く
  • 自分の考えと他人の考えを分ける:他人の主張には著者名と出典を付け、自分の主張は根拠とともに示して、文の上で区別する(「〜(山田, 2020)。しかし、〜をふまえると、〜と考えられる」)
  • 迷ったら尋ねる:引用のしかたや AI の使い方で迷ったら、提出の前に先生に確かめる

不正を避けるいちばんの近道は、自分で読み、自分で考え、自分で確かめて書くことです。

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