ゼミ発表のレジュメ:読んだ文献を報告する資料
ゼミや講読の授業で、読んだ文献を報告するときに配る資料が「レジュメ」です。レジュメに入れる項目、要約と自分の考えの分け方、論点の示し方、体裁と発表のときの注意を、組み立ての例とともに紹介します。
レジュメは、ゼミや講読の授業で、読んだ文献の内容を報告するときに配る資料です。聞き手は、レジュメを手元に置いて発表を聞き、そのあとの話し合いにも使います。レポートとは違い、聞き手が話を追い、話し合うための道具として作ります。
レジュメに入れる項目
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 冒頭の情報 | 授業名、発表の日付、発表者の名前(学籍番号) |
| 文献の情報 | 担当した文献の書誌情報と、担当の範囲(章・ページ) |
| 全体の要点 | 担当箇所の主張を、二、三行で |
| 内容のまとめ | 章や節の組み立てにそって、要点をまとめる(ページを添える) |
| 用語の説明 | 大切な用語や概念の、文献での定義 |
| 発表者の考え | 疑問、わかりにくかった所、ほかの研究とのつながり |
| 論点 | 話し合いたいことを、問いの形で |
| 参考文献 | 担当の文献以外に使った資料 |
授業で形式が決まっていれば、それに従います。
組み立ての例
心理学演習 第5回 2026年11月4日 発表者:〇〇(学籍番号)
文献:山田 太郎(2020).忘却の心理学 架空書房 第3章(pp. 40–62)
1. 第3章の要点
忘却の多くは、記憶が消えるのではなく、思い出す手がかりが働かないことで起こると論じている。
2. 内容のまとめ
- (1) 減衰説の考え方と、その問題点(pp. 40–45)
- (2) 干渉説を支える実験(pp. 46–55)
- (3) 手がかりの失敗という考え方(pp. 56–62)
3. 用語
- 逆向抑制:あとで学んだことが、前に覚えたことの想起を妨げること(p. 48)
4. 発表者の考え・疑問
- 睡眠中の忘却の少なさは、干渉の減少だけで説明できるのか(p. 52 の実験について)
5. 論点
- 日常の物忘れにも、この章の説明は当てはまるか(章の実験は、単語のリストを覚える課題に限られているため)
- 手がかりの失敗という説明は、減衰説を完全に退けたと言えるか(時間の経過の影響だけを取り出して調べた実験が挙がっていないため)
(例の文献は、説明のための架空のものです。)
要約と、自分の考えを分ける
レジュメでも、文献の内容と、発表者の考えを分けて書くことが大切です。
- 「内容のまとめ」には、文献に書かれていることだけを書く
- 自分の疑問や意見は、「発表者の考え」の欄にまとめるか、【発表者】のように印を付ける
- 文献の内容には、ページを添える。聞き手がその箇所を開いて確かめられるように
要約は、レジュメでも自分の言葉で書きます。原文の文をそのまま並べると、要点が見えにくくなります(「言い換え(パラフレーズ)」)。
論点の示し方
論点は、話し合いのきっかけになるものです。
- 「〜についてどう思うか」より、「〜は〜と言えるか」のように、何について賛否を話し合うのかがはっきりした問いにする
- なぜそれを論点にしたのか、理由を一言添える
- 二つか三つに絞る
よい論点は、文献のいちばん大切な主張や、その根拠の弱い所から生まれます(「文献を読んで書くレポート」の「評価の観点」)。
体裁
- 枚数は授業の指定に従う(文献講読では A4 で2〜4枚ほどになることも多い)
- レポートと違い、箇条書きや短い文を使ってかまいません。聞き手が目で追いやすいことを優先します
- 見出しに番号を付け、発表で「2の(3)を見てください」と言えるようにする
- 文献の図表は、そのまま貼り付けない(転載になる)。結果を言葉でまとめるか、数値をもとに自分で作った表にして、出典を示す(「図と表の作り方」)
発表のとき
- レジュメを読み上げるのではなく、要点を話し、くわしいことはレジュメを見てもらう
- いま話している箇所が、レジュメのどこにあたるかを示しながら進める
- 決められた時間の中で、論点の話し合いに時間を残す
- 質問には、文献に書かれていることと、自分の考えを分けて答える
スライドを使う発表や、ポスター発表については「発表のしかた」を見てください。