発表のしかた:スライドとポスター
ゼミや卒業論文の発表、学会でのポスター発表では、読み手ではなく聞き手に向けて伝えます。発表の組み立て、スライドの作り方、ポスターの作り方、話し方と時間の守り方、質疑応答への備えを紹介します。
発表では、文章とは違い、聞き手は話をその場で一度しか聞けません。読み返したり、前に戻って確かめたりできないため、文章よりも、話の道筋をはっきり示し、一度に伝えることを絞る必要があります。
文献を報告する配布資料の作り方は「ゼミ発表のレジュメ」を見てください。
発表の組み立て
研究の発表は、論文と同じく、問い → 方法 → 結果 → 考察 の順で組み立てるのが基本です(「IMRaD」)。
- 題名と発表者
- 問いと背景:何を明らかにしたいのか、なぜそれを問うのか
- 今日の話の道筋:どの順で話すか
- 方法:何をしたのか(くわしい手続きは要点だけ)
- 結果:何がわかったのか(図や表で)
- 考察と結論:結果が何を意味するのか、問いへの答え
- 限界と今後
聞き手は話を読み返せないため、冒頭で話の道筋を示すことがとくに大切です。分野や指導によっては、冒頭で結論を予告するよう勧められることもあります。話を一度しか聞けない聞き手にとって、行き先が先にわかっているほうが、話を追いやすいからです(「序論の書き方」)。どちらにするかは、授業の先生や指導教員の指示に従ってください。
スライドの作り方
- 1枚に、伝えることは一つ:そのスライドで何を言いたいのかを決めてから作る
- スライドの題を、言いたいことの文にする:「結果」ではなく「睡眠条件のほうが再生が多かった」
- 文字は少なく、大きく:文章を書き込まず、要点だけを置く。話す内容は、スライドではなく口で伝える
- 図や表を中心に:結果は、数字を並べるより、グラフで見せる(「図と表の作り方」)
- 出典を示す:紹介した研究には、スライドの中に出典を書く。ほかの文献の図表は、許諾なしにそのまま載せない(転載になる)。結果を言葉で示すか、数値をもとに自分で作った図にして、出典を添える(「引用の作法と著作権」)
- 枚数は時間に合わせる:目安として、1分に1枚ほど
スライドの文字を読み上げるだけの発表は、聞き手にとって退屈で、伝わりにくくなります。スライドには要点だけを置き、説明は自分の言葉で話しましょう。
ポスターの作り方
ポスター発表では、ポスターの前で、聞き手と立ち話をしながら説明します。
- 遠くから題名が読める:題名は大きく、内容がわかる文にする
- 流れが一目でわかる:問い・方法・結果・考察を、左上から右下へ、または列ごとに並べる
- 文章は短く:見出しと短い文、図を中心にする。全文を読まなくても要点がわかるように
- いちばん大事な結果を、いちばん目立つ所に
- 短い説明と、くわしい説明を用意する:立ち寄った人に1〜2分で話す説明と、興味を持った人にくわしく話す説明
ポスターの大きさや形式は、学会や発表会の指定に従います。
話し方と時間
- 時間を守る:決められた時間を超えると、質疑応答の時間がなくなり、ほかの発表者にも迷惑がかかります
- 声に出して練習する:少なくとも一度は、時間を計って通して話す
- 原稿を読み上げない:要点のメモを手元に置き、聞き手のほうを向いて話す
- いま、どこを話しているかを示す:「次に、結果です」と区切りを言葉にする
質疑応答
- 質問を、正しく受け取る:わからなければ、「〜という意味でしょうか」と確かめる
- わからないことは、わからないと言う:「その点は検討できていません。今後確かめたいと思います」と答えてかまいません。推測で答えるときは、推測だと断ります
- 批判を、攻撃と受け取らない:質問や批判は、研究をよくするための手がかりです(「日常と意味が違う言葉」)
- 受けた質問を記録する:発表のあとで、論文や次の研究に生かす
質問を予想して、答えを準備しておくと、落ち着いて答えられます。とくに、研究の限界や、ほかの説明の可能性についての質問は、よく出ます(「考察の書き方」)。