文献の読み方とノートの取り方
文献は、最初から最後まで順に読む必要はありません。問いを持って読む、論文を効率よく読む順番、本の読み方と、あとで剽窃を起こさないためのノートの取り方を紹介します。
文献を見つけたら、次は読んで、使える形でメモに残す段階です。ここでの読み方とメモの取り方が、あとの書きやすさと、引用の正確さを大きく左右します。
問いを持って読む
文献は、教科書のように最初から全部を覚えるつもりで読む必要はありません。自分の問いに答えるために何が使えるかを探しながら読みます。
- この文献は、自分の問いのどの部分に関係するか
- 著者は何を主張し、どんな根拠を示しているか
- 自分の考えと同じか、違うか
- 根拠は主張を十分に支えているか、前提に無理はないか
このように、鵜呑みにせずに確かめながら読むことを「批判的に読む」と言います。あら探しをすることではありません(「日常と意味が違う言葉」「批判的に考える」)。
問いがまだ決まっていなければ、まずは教科書や事典で全体をつかみ、「問いの立て方」の手順で問いを絞ってから、個別の論文を読み込みましょう。
論文を読む順番
研究論文は、頭から順に読むより、次の順で読むと全体を早くつかめます。
- 題名と要旨:何を調べ、何がわかったのかをつかむ
- 序論の終わり:問い・目的・仮説を確かめる
- 考察(結論):著者が何を主張しているかを読む
- 図と表:結果の中身を、データで確かめる
- 方法:どうやって調べたのか、結果を信頼できるかを見る
1〜3を読んで、自分の問いに関係が薄いとわかれば、そこで次の文献に移ってかまいません。関係が深い論文だけ、最初から通して読みます。論文の組み立ては「IMRaD」で紹介しています。
本を読むとき
本は、必要な章を選んで読みます。
- 目次で、どの章が自分の問いに関係するかを見る
- はじめに(序章)とおわりに(終章)で、本全体の主張をつかむ
- 索引で、自分が調べている用語が出てくるページを探す
ノートに書き分ける三つのこと
ノートでいちばん大切なのは、どこまでが文献の言葉で、どこからが自分の言葉かを、あとで見てもわかるように書き分けることです。ここがあいまいなまま書き始めると、気づかないうちに文献の文をそのまま本文に入れてしまい、剽窃につながります(「レポートの不正」)。
| 書くこと | 書き方の例 |
|---|---|
| 原文の書き写し | 「」でくくり、ページを添える:「忘却の多くは〜」(p. 58) |
| 要点のまとめ | 自分の言葉で書き、印を付ける:【要】記憶は残っていても、引き出すきっかけが働かないことが多いと考えられる |
| 自分の考え・疑問 | 別の印を付ける:【私】日常の物忘れにも当てはまるか? 自分の例で確かめたい |
印は自分で決めてかまいません。大切なのは、一つのノートの中で使い方をそろえることです。
書誌情報は、最初に書く
読み始める前に、ノートの最初に書誌情報を書きます。
- 著者、発行年、題名
- 雑誌名・巻・号・ページ、または出版社
- DOI や URL、ウェブなら閲覧した日
あとで参考文献の一覧を作るときに、もう一度探し直さずに済みます(「文献の管理」)。要点やメモにも、それがどのページにあったかを書き添えておくと、引用するときに原文をすぐに確かめられます。
要点は、本を閉じてから書く
要点のまとめは、原文を見ながらではなく、一区切り読んだら閉じてから書きます。原文を見ながら書くと、言い回しがそのまま移ってしまうからです。閉じて書けないところは、理解しきれていないところです。もう一度読み直しましょう。
この書き方は、そのままレポートの間接引用の下書きになります。くわしくは「言い換え(パラフレーズ)」を読んでください。
読み終えたら、一言でまとめる
一つの文献を読み終えたら、ノートの最後に次の二つを書いておきます。
- この文献の主張を、一文で言うと何か
- 自分のレポートの、どこで、何のために使えるか
レポートを書くときには、この二行を見返すだけで、どの文献をどこに使うかが決まります。