パラグラフ・ライティング:一段落に一つの主張

段落を「意味のまとまり」として組み立てる書き方です。中心文・支持文・締めの文の役割と、悪い例・よい例、書いた段落の確かめ方を紹介します。

パラグラフ・ライティングは、段落(パラグラフ)を「一つの主張と、それを支える文のまとまり」として組み立てる書き方です。英語の学術的な文章で広く使われてきた型ですが、日本語のレポートや論文でもそのまま役に立ちます。

改行は段落ではない

日本語の文章では、読みやすさのために適当なところで改行し、その一まとまりを「段落」と呼ぶことがあります(形式段落)。パラグラフ・ライティングで言う段落は、それとは違い、中身で区切るまとまりです。

  • 一つの段落では、一つのことだけを主張する
  • 主張が変わったら、段落を変える
  • 主張が同じなら、長くなっても段落を分けない

目安として、日本語のレポートでは一段落は200〜400字ほどになることが多いでしょう。一、二文の段落が続くときは、主張を支える文が足りていないか、本来一つの段落を細かく割りすぎています。

段落の三つの部品

部品役割位置
中心文(トピック・センテンス)その段落で言いたいことを一文で示す段落の最初
支持文(サポーティング・センテンス)理由・根拠・具体例で中心文を支える中ほど
締めの文小さくまとめる、次の段落へつなぐ段落の最後(なくてもよい)

いちばん大切なのは中心文を段落の最初に置くことです。読み手は段落の最初の一文で「この段落は何の話か」をつかみ、その見通しを持って残りを読みます。

なお、段落の中では言いたいことを先に示しますが、文章全体の答えは、序論ではなく結論で示します(このガイドの基本の考え方です。ほかの流儀については「序論の書き方」)。序論の段落の中心文は、答えではなく、主題や問いになります(「序論の書き方」)。

悪い例とよい例

悪い例

干渉説では、新しく学んだことと古い記憶が互いに妨げ合うと考える。ジェンキンスとダレンバックの実験では、覚えたあとに眠った場合のほうが、起きていた場合よりよく思い出せた。起きているあいだは、ほかの情報が次々に入ってくる。つまり、忘却には時間の経過よりも、その間に何が起きたかが関わっていると言える。

内容は正しくても、最後まで読まないと何を主張したいのかがわかりません。

よい例

忘却には、時間の経過そのものよりも、その間に何を経験したかが強く関わっている。ジェンキンスとダレンバックの実験では、無意味な綴りを覚えたあとに眠った場合のほうが、起きていた場合よりも、同じ時間がたったあとでよく思い出せた(Jenkins & Dallenbach, 1924)。経過した時間が同じでも、起きているあいだはほかの情報が次々に入ってくる。この結果は、新しい情報が古い記憶を妨げるという干渉説の考え方に合う。

最初の一文で主張を示し、続く文がそれを実験の結果で支え、最後の文で干渉説とのつながりを示しています。

段落と段落の関係

パラグラフ・ライティングでは、文章全体も段落の積み重ねとして組み立てます。

  • 序論の段落:主題から問いを導く
  • 本論の各段落:答えを支える理由を、一段落に一つずつ
  • 結論の段落:序論の問いへの答えと、それを支えた理由のまとめ

本論の段落の順番は、「重要な理由から」「時間の順に」「一般から具体へ」など、一つの決まりでそろえると読みやすくなります。段落の頭には、前の段落との関係を示す言葉(「さらに」「これに対して」「その結果」など)を置くと、つながりがはっきりします(「接続の言葉」)。

書いた段落を確かめる

書き終えたら、次の方法で確かめてみましょう。

  1. 中心文だけを抜き出して読む:各段落の最初の文だけを順に読み、文章全体の筋が通るか確かめる
  2. 一段落に主張が二つないか見る:「また」「一方で」で話が変わっていたら、そこで段落を分ける
  3. 中心文に関係しない文を探す:どれほど面白い内容でも、中心文を支えない文は削るか、別の段落へ移す

中心文だけを読んで全体がわかれば、その文章は要約しやすく、読み手にとっても読みやすい文章になっています。

この記事を共有するXLINEはてブ