接続の言葉:文と段落の関係を示す
「しかし」「したがって」「たとえば」などの接続の言葉は、文と文、段落と段落の関係を読み手に知らせる道しるべです。関係ごとの言葉の一覧と、学術的な文章での使い方、よくある使いすぎ・使いまちがいを紹介します。
接続の言葉は、前に書いたことと、これから書くことがどういう関係にあるのかを、読み手に先に知らせる道しるべです。「しかし」とあれば、読み手は前と反対の内容が来ると身構えます。正しく使えば、文章の筋がたどりやすくなり、まちがえて使えば、読み手を迷わせます。
関係ごとの言葉
| 関係 | 学術的な文章で使う言葉 | 避けたい話し言葉 |
|---|---|---|
| 付け加える | さらに、また、加えて、そのうえ | それと、あと |
| 反対の内容を示す(逆接) | しかし、だが、ところが、にもかかわらず | でも、だけど |
| 比べる・対にする | 一方、これに対して、他方 | — |
| 理由を示す | なぜなら、というのは、その理由は | だって |
| 結果・帰結を示す | したがって、そのため、よって、以上から | なので、だから |
| 例を示す | たとえば、具体的には、例として | — |
| 言い換える・まとめる | つまり、すなわち、要するに、言い換えれば | — |
| 認めてから返す(譲歩) | 確かに〜。しかし、もちろん〜。ただし | — |
| 条件・例外を示す | ただし、もっとも、なお | — |
| 話を移す | では、次に、ところで(レポートではまれ) | — |
話し言葉の言い換えは「文体と表記」にもまとめてあります。
使い方の注意
関係が本当にあるときだけ使う
「しかし」の前後が反対の内容になっていない、「したがって」の前が理由になっていない、といったずれは、論理の飛躍に見えてしまいます。接続の言葉を書いたら、前後の関係が本当にそうなっているかを確かめましょう。
干渉説は、多くの実験で支持されている。しかし、本レポートでは干渉説を検討する。
この「しかし」の前後は、反対の関係になっていません。ここでは「そこで」が合います。
「また」で何でもつながない
「また」は、前と同じ種類のことを付け加えるときの言葉です。関係のはっきりしない話題を「また」でつなぐと、段落がただの羅列になります。「また」が続いたら、それぞれの文が、問いに答えるうえでどんな役割をしているのかを見直しましょう(「アウトライン」)。
「〜が、」の弱いつなぎに頼らない
「〜を調べたが、〜であった」のように、逆接の意味のない「が」で文をつなぐと、関係があいまいになり、文も長くなります。
- あいまい:実験を行ったが、睡眠条件の再生数が多かった。
- よい:実験を行った。その結果、睡眠条件の再生数が多かった。
使いすぎない
すべての文の頭に接続の言葉を置くと、かえってうるさくなります。文の内容から関係が明らかなところでは、省いてかまいません。接続の言葉をとくに省かずに置きたいのは、段落の頭と、論の向きが変わるところ(逆接、譲歩、結論)です。
段落の頭の接続の言葉
段落の頭の接続の言葉は、その段落が、前の段落に対してどういう役割を持つのかを示します(「パラグラフ・ライティング」)。
- 「まず」「次に」「最後に」:本論の理由を順に示す
- 「これに対して」:反対の立場や、比べる対象を示す(「反論と再反論」)
- 「以上から」:本論をまとめて、結論へ移る
段落の中心文と、段落の頭の接続の言葉だけを順に読んで、論の流れがわかれば、つなぎ方は整っています。
確かめること
- 接続の言葉の前後が、その言葉の示す関係になっている
- 「なので」「でも」などの話し言葉を使っていない
- 「また」で、関係のはっきりしない話題をつないでいない
- 逆接でない「が」で、文をつないでいない
- 段落の頭で、前の段落との関係が示されている