構成:序論・本論・結論と、段落の役割
レポートの読みやすさは、文の上手さよりも組み立てで決まります。序論・本論・結論に書くことと、段落の作り方、書く前のアウトラインの立て方です。
読み手が迷わずに最後まで読めるレポートは、組み立てがはっきりしています。文の言い回しを磨く前に、全体の形を整えましょう。
三つの部分の役割
レポートの多くは、序論・本論・結論の三つで組み立てます(実験レポートや研究論文では、本論を方法と結果に分け、結論にあたる部分を考察とする IMRaD の型を使います。「実験レポートの書き方」を見てください)。それぞれの役割は次のとおりです。
| 部分 | 役割 | 分量の目安 |
|---|---|---|
| 序論 | 主題から問いを導き、どう論じるかを示す | 全体の1〜2割 |
| 本論 | 理由と根拠を示して、答えを支える | 全体の7〜8割 |
| 結論 | 問いへの答えをまとめ、残る課題を示す | 全体の1割ほど |
序論で問いを立て、結論でその問いに答えます。この二つが対になっていることが、レポートの骨組みです。忙しい読み手は、序論と結論だけを読んで全体をつかもうとします。
序論に書くこと
序論は、問いを立てるところです。次の五つを、この順で書きます。
- 主題:このレポートが何を扱うのか
- 背景:その主題について、何がわかっているのか
- 問題:まだわかっていないこと、食い違っていることは何か
- 問い:だから、このレポートで何を明らかにするのか
- 道筋:その問いに、どう答えていくのか(「まず〜を、次に〜を検討する」)
答え(結論)は序論には書かず、本論で論じたうえで結論で示します。「結論から書く」は、報告や連絡のように、読み手がすぐに答えを知りたい文書の書き方です。学術的な文章の序論では、主題から出発して、なぜその問いが立つのかを読み手が納得できるように示すことに力を注ぎます。くわしくは「序論の書き方」で紹介しています。授業によっては、序論で結論の見通しを示すよう求められることもあります。その場合は、指定に従ってください。
本論は「一段落に一つの主張」
本論は、論点ごとに段落を分けます。一つの段落には、一つの主張だけを書きます。
段落は、次の形にすると読みやすくなります。
- 中心文:段落の最初に、その段落で言いたいことを一文で書く
- 支持文:理由、根拠、具体例で中心文を支える
- 締めの文:必要なら、次の段落へのつなぎや小さなまとめを書く
段落の最初の一文だけを順に読んで、本論の流れがわかる。この状態になっていれば、組み立ては整っています。この書き方は「パラグラフ・ライティング」でくわしく紹介しています。
段落と段落をつなぐ
段落の関係は、「さらに」「しかし」「したがって」「たとえば」などの接続の言葉で示します。接続の言葉は、論理の関係が本当にあるときだけ使います。関係ごとの言葉の一覧と、よくある使いまちがいは「接続の言葉」にまとめてあります。
結論に書くこと
結論では、新しい論点を持ち出さずに、次のことを書きます(例と、よくある失敗は「結論の書き方」にまとめてあります)。
- 序論の問いに対する答え(本論の要点を短くまとめて)
- このレポートで扱えなかったこと、限界
- 今後の課題や、さらに調べたいこと
結論の最後に初めて出てくる話題(「日常の出来事の記憶でも同じことが言えるかは、今後の課題である」など)は、本論とのつながりを一言添えると唐突さが消えます。
題名を付ける
題名は、読み手が最初に目にする、レポートの顔です。「心理学レポート」「忘却について」のような題名では、何を論じたのかが伝わりません。
- 主題と問いがわかるようにする:「忘却の主な原因は減衰か干渉か」
- 副題で、扱う範囲や方法を示す:「忘却の主な原因は減衰か干渉か:睡眠と学習の実験から考える」
- 本文を書き終えてから見直す:書き始めに仮の題名を付け、最後に、本文の内容と合っているかを確かめる
題名の書き方(副題の付け方、記号)に指定があれば、それに従います。見本は「見本のレポート」にあります。
見出しを付ける
見出しは、レポートの組み立てを、読み手に先に見せる道しるべです。
- 内容がわかる見出しにする:「本論1」「第2節」ではなく、「睡眠の実験から見た干渉の働き」のように、その節で何を論じるかがわかるようにする
- 見出しだけを順に読んで、筋がわかるようにする:見出しの並びが、アウトラインの小さな問いの並びになっているのが理想です(「アウトライン」)
- 番号と階層をそろえる:「1. 2. 3.」と「1.1 1.2」のように、階層ごとに番号の付け方を決める(「日本語の組版」)
- 細かく分けすぎない:2,000字ほどのレポートなら、序論・本論の二、三の節・結論くらいが目安です
短いレポートで見出しを付けるかどうかは、授業の指定に従います。
書く前にアウトラインを立てる
思いつくままに前から書き進めると、連想で文がつながっていき、結論が最初の問いに答えていない文章になりがちです。書き始める前にアウトラインを立て、全体の構造を決めておきましょう。
- 問いと仮の答えを一文ずつ書く
- 答えを支えるために確かめることを、二つか三つの小さな問いとして挙げる
- 小さな問いごとに、使う根拠(文献、データ、例)を書き添える
- 序論・本論・結論に割り当て、段落ごとの中心文を書いておく
設計の手順と、書いている途中・書いたあとの確かめ方は「アウトライン」でくわしく紹介しています。エディタの上の帯にある「アウトライン」では、見出しの並びを確かめられます。
この記事の細目
- アウトライン:書く前に全体を設計する
思いつくままに前から書き進めると、連想で文がつながり、結論が最初の問いに答えていない文章になりがちです。書く前に問いと答えの骨組みを設計し、全体の構造を意識しながら書き、書いたあとに構造を確かめる方法を紹介します。
- 序論の書き方:主題から問いを導く
序論は、答えを先に言う場所ではなく、問いを立てる場所です。主題から背景・問題を経て問いへと絞り込む流れと例、「結論から書く」との違い、よくある書き出しの失敗、序論を書く順番を紹介します。
- パラグラフ・ライティング:一段落に一つの主張
段落を「意味のまとまり」として組み立てる書き方です。中心文・支持文・締めの文の役割と、悪い例・よい例、書いた段落の確かめ方を紹介します。
- 結論の書き方:問いに答えて締めくくる
結論は、序論で立てた問いへの答えをはっきり示す場所です。結論に書くこと・書かないこと、序論との対応のさせ方、よくある締めくくりの失敗と直し方を、例とともに紹介します。
- 接続の言葉:文と段落の関係を示す
「しかし」「したがって」「たとえば」などの接続の言葉は、文と文、段落と段落の関係を読み手に知らせる道しるべです。関係ごとの言葉の一覧と、学術的な文章での使い方、よくある使いすぎ・使いまちがいを紹介します。