結論の書き方:問いに答えて締めくくる

結論は、序論で立てた問いへの答えをはっきり示す場所です。結論に書くこと・書かないこと、序論との対応のさせ方、よくある締めくくりの失敗と直し方を、例とともに紹介します。

結論は、読み手がレポートの最後に「結局、何が言えたのか」を確かめる場所です。序論と並んで、読み手が最初に目を通すことの多い部分でもあります。本論がよく書けていても、結論がぼやけていると、レポート全体の印象が弱くなります。

結論に書くこと

結論には、次の三つを、この順で書きます。

  1. 問いへの答え:序論で立てた問いに、一文で答える
  2. 答えを支えた理由のまとめ:本論の要点を、短くまとめ直す
  3. 限界と今後の課題:このレポートで扱えなかったこと、さらに調べるとよいこと

長さは、全体の1割ほどが目安です。2,000字のレポートなら、200字前後になります。

例

序論で「忘却の主な原因は、時間の経過による減衰か、ほかの記憶による干渉か」という問いを立てたレポートの結論です。

本レポートでは、忘却の主な原因が減衰と干渉のどちらにあるかを検討し、干渉のほうが忘却をよく説明すると結論づけた。その理由は二つある。第一に、経過した時間が同じでも、その間に新しい情報を学ぶほど忘却が進むことが、複数の実験で示されている。第二に、時間の経過だけで記憶が弱まることを、ほかの要因を除いて示すことは難しい。ただし、本レポートで扱った研究の多くは、無意味な綴りや単語のリストを覚える実験であり、日常の出来事の記憶にも同じことが言えるかは、さらに検討が必要である。

答え → 二つの理由 → 限界の順になっていて、序論の問いにそのまま答えています。

序論と結論を対にする

結論を書いたら、序論と並べて読んでみましょう。

序論結論
問い:〜は〜か答え:〜は〜である
道筋:まず〜を、次に〜を検討するまとめ:〜と〜から、〜と言える

とくに、問いの型と答えの型がそろっているかを確かめます。序論で「なぜ〜か」と問うたなら、結論は原因で答えます。「何か」を問うたのに方法を、「A か B か」を問うたのに両方の長所と短所を答えていたら、型がずれています(「問いの立て方」)。

序論の問いと結論の答えがかみ合っていなければ、どちらかを直します(ただし、実験や調査のレポートでは、結果に合わせて仮説を書き換えてはいけません。「仮説の立て方」)。序論は、はじめに下書きをして問いをはっきりさせてから本論へ進み、最後に全体と照らして見直す、という進め方がおすすめです(「序論の書き方」)。

結論に書かないこと

新しい論点や根拠

結論で初めて出てくる研究やデータは、本論で論じていないので、読み手は確かめようがありません。必要なら、本論に戻して書きます。

感想

「とても興味深かった」「改めて記憶の不思議さを感じた」は、問いへの答えではありません。書くとしても、ごく短くとどめます。

警句や提言

「私たち一人一人が〜すべきである」「今こそ〜が求められている」のような警句や提言、呼びかけは、提言や啓発の文章、スピーチの締めくくりです。こうした文を最後に付け足しても、問いに答えたことにはならず、本論で根拠を示した主張でもありません。レポートや論文の結論は、問いへの答えで締めくくります。

ただし、「〜すべきか」という是非を問うたレポートなら、「〜すべきである」が問いへの答えになります。その場合も、本論で示した根拠の範囲で、条件を付けて答えます(「論文の文章と、ほかの文章」)。

本論のくり返し

本論の文をそのまま写すと、分量が増えるだけで、何が大切なのかがかえって見えにくくなります。要点だけを、新しい言葉でまとめ直しましょう。

よくある締めくくりと直し方

よくある締めくくりどこが問題か直し方
〜について考えていきたい答えを先送りにしているこのレポートで言えたことを書く
「考察すると、〜なのではないか」「〜説ある」根拠のない推測を、考察や説と呼んでいる本論で示した根拠から言えることだけを書く(「日常と意味が違う言葉」)
〜は非常に重要である何がどう重要かがわからない本論で示した理由をもとに、具体的に書く
〜は人それぞれである問いに答えていない条件を分けて答える(「〜の場合は〜である」)
よって、〜はすべて〜である根拠より強く言いすぎている本論で示せた範囲に合わせる
以上から、〜が証明された実験や文献の検討は「証明」までは言えない「〜を支持する」「〜と言える」にする(「日常と意味が違う言葉」)
私たち一人一人が〜すべきである問いと関係のない警句・呼びかけになっている問いへの答えに戻る。実践への手がかりを書きたいなら、問いへの答えとは分け、根拠の範囲と条件を示して書く(「論文の文章と、ほかの文章」)

限界と今後の課題の書き方

限界を書くのは、レポートの弱さを認めることではなく、主張がどこまで言えるのかをはっきりさせることです。

  • 扱った資料の範囲(「日本の研究に限った」「実験室での研究が中心だった」)
  • 方法の制約(「参加者が少なかった」「一回の調査だった」)
  • 残った問い(「日常の記憶でも同じことが言えるか」)

今後の課題は、その限界から自然に出てくるものを一つか二つ書けば十分です。結論の最後で急に新しい話題に移ると唐突に見えるので、本論とのつながりを一言添えましょう。

この記事を共有するXLINEはてブ