文献の管理:集めた文献を見失わない
読んだ文献の書誌情報とメモを、あとで引用や参考文献の一覧にすぐ使える形で残す方法です。表やノートでの手作業の管理から、文献管理ソフトの使い方、自動で取り込んだ情報を確かめる注意まで紹介します。
レポートを書き始めると、「あの話はどの文献に書いてあったか」「この本の出版社はどこだったか」と探し直すことがよくあります。集めた文献は、読んだそのときから、あとで引用や参考文献の一覧にすぐ使える形で残しておきましょう。
何を残すか
一つの文献ごとに、次のことを残します。
- 書誌情報:著者、発行年、題名、雑誌名・巻・号・ページ、または出版社、DOI や URL(ウェブなら閲覧した日)
- ファイル:論文の PDF などがあれば、その置き場所
- メモ:要点、引用に使えそうな箇所とページ、自分の考え(「文献の読み方とノートの取り方」)
- 使いどころ:自分のレポートのどこで、何のために使うか
手作業で管理する
授業のレポートで使う文献が数本から十本ほどなら、表やノートでの管理でも十分です。
| 著者 | 年 | 題名 | 掲載誌・出版社 | 巻・号・ページ/DOI | ファイル | 使いどころ |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 山田 太郎 | 2020 | 忘却の心理学 | 架空書房 | — | (本。図書館で借りた) | 序論:忘却の二つの説明 |
| 山田 太郎・佐藤 花子 | 2021 | 睡眠と記憶の保持 | 記憶研究 | 12, 40–52 | yamada2021.pdf | 本論1:睡眠の効果の根拠 |
ファイル名を「著者の名字+発行年」でそろえておくと、PDF を探しやすくなります。
(表の文献は、説明のための架空のものです。)
文献管理ソフトを使う
卒業論文のように多くの文献を扱うときは、文献管理ソフトが役に立ちます。よく使われるものに、Zotero(無料)、Mendeley(無料)、EndNote(有料。大学が契約していることがあります)などがあります。
主にできることは、次のとおりです。
- ブラウザや DOI から、書誌情報を取り込む
- PDF を文献ごとに整理し、メモを付ける
- Word などに引用を差し込み、参考文献の一覧を自動で作る
- 引用の書式(APA など)を切り替える
- TeX で書くときのために、BibTeX の形式で書き出す
どれを使うかは、大学の契約や、指導教員・研究室で使っているものに合わせるとよいでしょう。
自動で取り込んだ情報は、必ず確かめる
文献管理ソフトが取り込む書誌情報には、まちがいや抜けがよくあります。
- 著者名の表記(日本語の名前で姓と名が逆になる、ローマ字になる)
- 題名の大文字・小文字、副題の抜け
- 巻・号・ページの抜け、発行年のずれ
- 日本語の文献の書き方が、指定の書式に合わない(英語の文献用の書式で出力されるなど)
参考文献の一覧を自動で作った場合も、提出前に一つずつ、元の文献と照らし合わせて確かめましょう。一覧のまちがいは、読み手が文献をたどれなくなるだけでなく、存在しない文献を挙げたと受け取られるおそれもあります。
AI が示した文献を、確かめずに文献管理ソフトへ入れてはいけません。実在しない文献が紛れ込むことがあるからです(「AI を使った執筆の進め方」)。
文献の置き場所を一つにする
- 文献の PDF、メモ、書誌情報の表を、課題ごとのフォルダに一つにまとめる
- クラウドに保存し、パソコンが壊れても失わないようにする(「執筆の準備」)
- 大学の契約で入手した論文の PDF を、ほかの人に配ったり、公開したりしない