引用の書式:本文中の示し方と参考文献の一覧

引用の書式は分野によって違いますが、心理学をはじめ多くの分野で使われる「著者と発行年」の形式を中心に、本文中での示し方と、参考文献の一覧の書き方を例で紹介します。APA の書式の例、日本語の文献の例、よくあるまちがいもまとめました。

引用の書式は、分野や授業によって違います。ここでは、心理学など多くの分野で使われている著者と発行年で示す形式を中心に紹介します。授業で書式が指定されていれば、必ずそちらに従ってください。どの書式でも大切なのは、読み手が元の文献にたどり着けることと、一つの文書の中で書き方をそろえることです。

引用のしかたそのもの(間接引用と直接引用、書かれていないことを引用しない注意)は「根拠と引用」を読んでください。

(この記事の例に出てくる日本語の文献は、説明のための架空のものです。)

主な書式の種類

形式本文中の示し方主に使われる分野
著者と発行年〜である(山田, 2020)。心理学、教育学、社会科学など
番号〜である [1]。医学、工学など
注(脚注・文末注)〜である¹。(ページの下や本文の終わりに出典)文学・歴史・哲学など人文系(「人文系の引用」)

心理学では、アメリカ心理学会の APA の書式や、日本心理学会の『執筆・投稿の手びき』の書式がよく使われます。

本文中での示し方(著者と発行年)

場合文の中で著者を主語にする文の終わりに添える
著者が1人山田(2020)は〜〜である(山田, 2020)。
著者が2人山田・佐藤(2021)は〜〜である(山田・佐藤, 2021)。
著者が3人以上山田ほか(2022)は〜〜である(山田ほか, 2022)。
英語の文献Jenkins and Dallenbach (1924) は〜〜である (Jenkins & Dallenbach, 1924)。
英語の文献(3人以上)Smith et al. (2022) は〜〜である (Smith et al., 2022)。
  • 直接引用には、ページを添えます:(山田, 2020, p. 58)。著者を主語にするときは、引用のすぐあとに添えます:山田(2020)は「〜」(p. 58)と述べている
  • 同じ箇所で複数の文献を挙げるときは、セミコロンで区切ります:(佐藤, 2022; 山田, 2020)。並べる順は、一覧と同じく第一著者の姓のアルファベット順です
  • 同じ著者の同じ年の文献が二つあるときは、年に a、b を付けて区別します:山田(2020a)

かっこやカンマを全角にするか半角にするか、3人以上を「ほか」と書くか「他」と書くかは、書式によって違います(たとえば日本心理学会の手びきでは、日本語の文献を(山田,2020)、(山田他,2022)のように書きます)。書式ごとの違いは「引用の書式の比較」で比べています。文書の中でそろえましょう。

参考文献の一覧の書き方

一覧には、本文で引用した文献をすべて、引用していない文献は載せずに並べます。著者と発行年の形式では、ふつう第一著者の姓のアルファベット順に並べます(日本語の文献も、姓の読みのアルファベット順に並べる書式が多くあります)。

APA の書式の例(英語の文献)

雑誌の論文:

Jenkins, J. G., & Dallenbach, K. M. (1924). Obliviscence during sleep and waking. The American Journal of Psychology, 35(4), 605–612. https://doi.org/10.2307/1414040

本:

Author, A. A. (Year). Title of the book: Subtitle. Publisher.

編集された本の中の章:

Author, A. A. (Year). Title of the chapter. In E. E. Editor (Ed.), Title of the book (pp. 1–20). Publisher.

APA の書式で気をつけることは、次のとおりです。

  • 著者は「姓, 名の頭文字.」の順で書き、最後の著者の前に & を置く
  • 論文や本の題名は、最初の語、コロンのあとの副題の最初の語、固有名詞だけを大文字にする
  • 雑誌名と巻の数字、本の題名は斜体にする
  • DOI があれば、https://doi.org/ で始まる形で最後に書く
  • 2行目以降を字下げする(ぶら下げインデント)

日本語の文献の例

日本語の文献の書き方は、書式によって記号や順番が少しずつ違います。一例を示します。

雑誌の論文:

山田 太郎・佐藤 花子(2021).睡眠と記憶の保持 記憶研究,12,40–52.

本:

山田 太郎(2020).忘却の心理学 架空書房

ウェブページ:

文部科学省(2024).〇〇に関する調査結果 https://www.mext.go.jp/...(2026年10月20日閲覧)

日本語の文献では、題名に斜体を使わないのがふつうです。ウェブページでは、閲覧した日を求める書式が多くあります。

そのほかの文献の例

よく使うのに迷いやすい文献の、書き方の一例です(日本語の文献の場合)。記号や順番は、書式によって違います。

文献の種類書き方の一例
編著の本の中の章章の著者(年).章の題名 編者(編)書名(pp. 〇–〇)出版社
事典・辞典の項目項目の執筆者(年).項目名 編者(編)事典名(p. 〇)出版社
新聞の記事著者(署名があれば)(年月日).記事の見出し 新聞名,朝刊・夕刊,面
白書・報告書発行した機関(年).報告書の名前(著者と発行した機関が同じなら、発行した機関は省く書式もある)
法令法令の名前(公布の年と番号)。例:著作権法(昭和45年法律第48号)
作成者や日付のないウェブページ作成者がなければ題名を先頭に、日付がなければ「日付なし(n.d.)」と書き、閲覧した日を添える

法令は、本文では「著作権法第32条」のように条文で示し、参考文献の一覧には載せない書式もあります。

日本語と英語の文献が混ざるとき

著者と発行年の形式では、日本語と英語の文献を一つの一覧にまとめ、第一著者の姓のアルファベット順(日本語の文献は姓の読みのローマ字で)に並べる書式が多くあります(たとえば、山田は Yamada として並べます)。日本語の文献を五十音順、英語の文献をアルファベット順にして、分けて並べる書式もあります。指定に合わせてください。

読んでいない文献を引用するとき(孫引き)

元の文献を読まずに、ほかの文献での紹介を頼りに引用すること(孫引き)は、できるだけ避けます(「一次資料と二次資料」)。どうしても元の文献が手に入らないときは、自分が実際に読んだ文献を示します。APA の書式では、次のように書きます。

Ebbinghaus (1885, as cited in 山田, 2020) は〜

参考文献の一覧には、実際に読んだ文献(この例では山田, 2020)だけを載せます。読んでいない元の文献を、読んだかのように一覧に載せてはいけません。

AI の出力そのものを出典として示すときの書き方は「AI を使ったことの書き添え方」を見てください。

よくあるまちがい

まちがい直し方
本文で引用した文献が、一覧にない(またはその逆)本文の出典を一つずつ一覧と照らし合わせる
一覧の中で、書き方が文献ごとに違う指定の書式に合わせて、記号や順番をそろえる
本文と一覧で、著者名や発行年が食い違う元の文献で確かめて、両方を直す
ウェブページの URL だけを書く作成者、年、題名も書く
一覧を、読んだ順や本文に出てきた順に並べる著者と発行年の形式なら、第一著者の姓のアルファベット順に並べる
文献管理ソフトが取り込んだ情報や、AI がつくった情報をそのまま使う元の文献と照らし合わせて確かめる(「文献の管理」「AI の答えを確かめる手順」)

書式の手引きを手元に

書式の細かい決まり(記号の全角・半角、著者が多いときの書き方、翻訳書の書き方など)は、ここでは書ききれません。指定された書式の手引き(APA の手引き、日本心理学会の『執筆・投稿の手びき』、学科の書式など)を手元に置き、迷ったら確かめましょう。

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