課題に答える:課題文の読み方と、問いを一文にするまで

よく書けているのに評価が低いレポートの多くは、課題が求めていることに答えていません。課題文を「指示の束」として読み、一文の問いにするまでの手順です。

レポートの評価でまず見られるのは、課題が求めていることに正面から答えているかです。文章がどれほど整っていても、聞かれていないことに答えていれば、評価は上がりません。書き始める前に、課題文をていねいに読み解きましょう。

課題文は「指示の束」として読む

課題文は、短くても複数の指示が重なっています。たとえば次の課題を見てください。

忘却の原因について、減衰説と干渉説を比較し、実験的証拠を挙げて2,000字程度で論じなさい。

この一文には、少なくとも次の指示が含まれています。

  • 主題:忘却の原因
  • 扱う範囲:減衰説と干渉説の二つ
  • すること:比較する
  • 根拠の条件:実験的証拠を挙げる
  • 分量:2,000字程度
  • 文章の種類:論じる(自分の考えを根拠とともに示す)

どれか一つでも抜けると、「課題に答えていない」と判断されます。課題文を写して、指示ごとに線を引いたり番号を振ったりしてから書き始めると、抜けを防げます。

動詞で「何をするか」が決まる

課題文の最後の動詞は、求められている作業を表します。どの動詞も似ているようで、求められる作業の中身は大きく違います。

動詞求められていること
説明しなさい事実や考え方を、正確にわかりやすく伝える
比較しなさい共通点と違いを、同じ観点で並べて示す
論じなさい問いに対する自分の主張を、理由と根拠で支える
考察しなさい結果や事実から、その意味や理由を検討する
述べなさい自分の考えや経験を、筋道立てて書く

「考察しなさい」の考察は、ネットで言う「考察」(自由な推測)とは違い、資料やデータを根拠に筋道立てて検討することです(「日常と意味が違う言葉」)。

「論じなさい」と言われているのに説明だけで終わる、「比較しなさい」と言われているのに片方だけをくわしく書く、というずれがよく起こります。

条件を書き出す

内容の指示とは別に、形式の条件も確かめます。

  • 字数(「程度」なら前後1割、「以内」なら上限を超えず、かつ大きく下回らない)
  • 使う資料の指定(授業の文献、何冊以上など)
  • 引用の形式(指定された形式があるか)
  • 提出の形式(ファイル形式、表紙、氏名の書き方)
  • 締切

評価の基準(ルーブリック)が配られていれば、それも読みます(「授業ごとに確かめること」)。こうした条件や評価の基準は、課題文のほかに、シラバスや授業の資料に書かれていることもあります。迷ったら、早めに担当の先生に確かめましょう(「先生への尋ね方」)。

問いを一文にする

指示を読み解いたら、レポートで答える問いを一文の疑問文にします。

  • 悪い例:「忘却について」
  • よい例:「忘却の主な原因は、時間の経過による減衰か、ほかの記憶による干渉か」

問いが一文になると、何を書き、何を書かないかが決まります。よい問いの条件や絞り込み方は「問いの立て方」で紹介しています。調べたことを全部書きたくなったら、その内容が問いに答えるのに必要かを確かめてください。

仮の答えを先に決める

問いが決まったら、調べ終わる前でも仮の答えを書いてみましょう。「干渉のほうが忘却をよく説明する。理由は〜」のように一文でかまいません。

仮の答えを書いたら、問いの型と答えの型が対応しているかを確かめます。「なぜ」と問うたのに「どのように」で答えていたり、「A か B か」と問うたのにどちらも選んでいなかったりしないか、ということです(「問いの立て方」)。

仮の答えがあると、集める資料に目的ができ、構成も立てやすくなります。調べるうちに考えが変わったら、答えを書き直せばよいのです。答えが最後まで決まらないまま書くと、本論が資料の紹介の羅列になりがちです。

なお、仮の答えは書き進めるための目印です。授業で別の指定がなければ、序論に書くのは問いまでで、答えは本論で論じたうえで結論に書きます。

提出前に確かめること

  • 課題文の指示を、一つずつ満たしているか
  • 序論で、主題から問いを導き、問いをはっきり示しているか
  • 結論が、序論の問いにそのまま答えているか
  • 字数・形式の条件を守っているか
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