文献の探し方:レポートの根拠になる資料を見つける

検索エンジンだけに頼らず、学術的な文献を探す方法です。図書館の蔵書検索、CiNii Research・J-STAGE・Google Scholar などの使い分け、検索の言葉の選び方、見つけた文献から次の文献へたどる方法を紹介します。

レポートの根拠には、誰が書いたのかがはっきりし、ほかの人も確かめられる資料を使います。ふだん使う検索エンジンでは、そうした資料はなかなか上位に出てきません。学術的な文献を探すための道具を使い分けましょう。

まず教科書と事典で全体をつかむ

調べ始めは、いきなり論文を探すより、授業の教科書や専門の事典で、そのテーマの全体像と基本の用語をつかむほうが近道です。

  • どんな考え方や立場があるのか
  • 代表的な研究者や研究は何か
  • その分野で使われている用語は何か(検索の言葉になる)

教科書や事典の章末にある参考文献は、次に読む文献の候補になります。テーマを見渡すには総説(レビュー論文)が、小さな問いに答える根拠には個別の論文が役立ちます(「学ぶための文献と、主張を支える文献」)。

探す道具の使い分け

道具探せるもの向いている使い方
大学図書館の蔵書検索(OPAC)大学で読める本・雑誌・電子資料本を探す、すぐに読めるかを確かめる
CiNii Research(サイニィ・リサーチ)日本の論文・本・研究データなど日本語の論文を幅広く探す
J-STAGE(ジェイ・ステージ)日本の学会誌などの論文日本語の論文の本文を読む(無料で読めるものが多い)
国立国会図書館サーチ国内で出版された本・雑誌など大学にない本を探す
Google Scholar(グーグル・スカラー)世界の論文・本英語の論文を探す、引用のつながりをたどる
分野ごとのデータベース分野の論文(心理学なら APA PsycInfo など)専門の論文をもれなく探す
e-Stat(政府統計の総合窓口)国の統計根拠になる数字を探す

分野ごとのデータベースや一部の電子ジャーナルは、大学が契約していれば学内から使えます。何が使えるかは、図書館のウェブサイトで確かめてください。

検索の言葉を工夫する

思ったような文献が出てこないときは、言葉を変えてみましょう。

  • 言い換える:「忘却」→「記憶の消失」「想起の失敗」「保持」
  • 専門の用語を使う:教科書で見つけた用語(「干渉」「逆向抑制」など)で探す
  • 英語でも探す:「forgetting」「interference」など。英語の論文は数が多く、新しい研究も見つかります
  • 組み合わせる:「忘却 干渉」のように二つ以上の言葉を並べると絞り込めます
  • 年で絞る:新しい研究を知りたいときは、発行年の範囲を指定します

見つかりすぎるときは言葉を足して絞り、見つからなさすぎるときは言葉を減らすか、広い言葉に変えます。

学外から論文を読む

大学が契約している電子ジャーナルやデータベースは、学内のネットワークからなら読めても、家からは読めないことがあります。多くの大学では、学外から読むための方法(学外アクセス、VPN など)を用意しています。図書館のウェブサイトで、使い方を確かめてください。

DOI とは

DOI(デジタルオブジェクト識別子)は、論文などに付けられた、一つ一つに固有の番号です。https://doi.org/ のあとに DOI を続けると、その論文のページにたどり着けます。参考文献の一覧に DOI を書くと、読み手が論文を確実に見つけられます(「引用の書式」)。

英語の論文を読む

  • まず要旨と図表を読み、自分の問いに関係するかを確かめる(「文献の読み方とノートの取り方」)
  • 専門用語は、教科書や専門の事典で確かめる
  • 機械翻訳は、理解の助けにとどめる。引用するときは、原文で内容を確かめ、出典には原文の論文を示す
  • 大学の契約で読める論文の PDF を、翻訳や AI のサービスに入れてよいかは、利用の条件で確かめる(「AI に入れてはいけない情報」)

見つけた文献から、次の文献へ

よい文献が一つ見つかったら、そこから芋づる式に広げられます。

  1. さかのぼる:その文献の参考文献の一覧から、もとになった研究を探す
  2. 新しい研究へたどる:Google Scholar の「引用元」から、その文献を引用した新しい研究を探す
  3. 同じ著者をたどる:その研究者が書いたほかの論文を探す

何度も名前が出てくる研究は、その分野で重要な研究であることが多いです。

探すだけでなく、新しい研究が届くしくみを作っておくこともできます(「新しい研究に出会うしくみ」)。

信頼できる文献かを見分ける

  • 査読があるか:学術雑誌の多くは、専門家の審査(査読)を経た論文を載せています。査読があるかは、雑誌のウェブサイトの投稿の規定や編集の方針で確かめられます。大学や研究所が出す紀要には、査読のないものもあります(紀要の論文が使えないわけではありませんが、査読の有無は、確かさを判断する手がかりの一つになります)
  • 誰が書いたか:著者の所属や専門がわかるか
  • いつの研究か:古い研究の結果が、のちの研究で見直されていないか
  • 一次資料か:研究そのものを報告した論文か、それを紹介した記事か

紹介記事や孫引き(ほかの文献に引用されていたものを、元を読まずに引用すること)ではなく、できるだけ元の研究を読みましょう。資料の種類による確かさの違いは「一次資料と二次資料」で紹介しています。見つけた文献の引用のしかたは「根拠と引用」を読んでください。

見つけたら、すぐに記録する

あとで参考文献の一覧を作るときに困らないよう、見つけた文献は、その場で記録します(ノートの取り方は「文献の読み方とノートの取り方」、整理のしかたは「文献の管理」)。

  • 著者、発行年、題名、雑誌名や出版社、巻・号・ページ、DOI や URL
  • どこに何が書いてあったか(ページ)と、自分のメモ

大学にない本や論文は、図書館を通じてほかの大学から取り寄せられることがあります(相互貸借・文献複写)。時間がかかるので、早めに頼みましょう。

困ったら図書館に相談する

大学図書館には、資料の探し方の相談に乗ってくれる窓口(レファレンス)があります。「このテーマで資料を探しているが見つからない」と相談するだけで、探し方の手がかりがもらえます。

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