新しい研究に出会うしくみ:検索だけに頼らない

文献は、探すだけでなく、向こうから届くようにしておくこともできます。Google Scholar のアラート、雑誌の新着の知らせ、J-STAGE や PubMed の通知など、新しい研究を受け取るしくみの作り方と、集めすぎないコツ、紹介や要約を入口として使うときの注意を紹介します。

文献を探すとき、ふつうは、問いが決まってから検索します(「文献の探し方」)。それに加えて、新しい研究が向こうから届くしくみを作っておくと、自分の関心のあるテーマの研究の動きが、自然に目に入るようになります。

卒業論文のように長く一つのテーマに取り組むときは、とくに役立ちます。書いているあいだに出た新しい研究を見落とさずにすみます。問いを探している段階でも、いろいろな研究に触れることで、問いの種が見つかります。

届くようにする方法

方法届くもの作り方
Google Scholar のアラート登録したキーワードに合う新しい論文検索したあと、「アラートを作成」からメールの宛先を登録する
Google Scholar の著者のフォロー研究者の新しい論文や、その論文を引用した論文研究者のプロフィールのページで「フォロー」を選ぶ
雑誌の新着の知らせ雑誌の新しい号の目次や、新しく公開された論文出版社のサイトで、雑誌ごとにメールの知らせ(新着目次)や RSS を登録する
My J-STAGE日本の学会誌の新しい号や論文J-STAGE で My J-STAGE に登録し、雑誌や検索の条件を保存して、新着の知らせを受け取る
PubMed の保存した検索医学・生命科学の新しい論文My NCBI に登録し、検索の条件を保存して、メールの知らせを受け取る
学会のニュースレター学会の大会、新しい号、研究の話題学会のサイトで登録する(会員向けのものもある)

どれも、登録の手順はサービスによって変わることがあります。それぞれのサイトの案内で確かめてください。

キーワードの選び方

アラートのキーワードは、広すぎると毎日大量に届き、狭すぎるとほとんど届きません。

  • 教科書や総説で見つけた専門の用語を使う(「学ぶための文献と、主張を支える文献」)
  • 英語のキーワードも登録する。英語の論文は数が多く、新しい研究も早く出ます
  • 届いたものを見て、ほとんど関係がなければ言葉を足して絞り、何も届かなければ広げる
  • 自分のテーマの中心になる研究者がわかったら、著者のフォローも使う

集めすぎないコツ

届く論文をすべて読む必要はありません。

  1. 題名だけを見る:自分のテーマに関係がありそうなものだけを選ぶ
  2. 要旨を読む:選んだものの要旨を読み、自分の問いに関わるかを確かめる
  3. 残すものだけ記録する:読む価値があると思ったものだけを、文献の管理に入れる(「文献の管理」)

届いた知らせを見るのは、週に一度などと決めておくと、追われずにすみます。

紹介や要約は、入口として使う

新しい研究は、論文そのものだけでなく、研究を紹介するニュースや記事、SNS、要約や解説のサービスからも知ることができます。こうした紹介は、研究に出会う入口としてはとても便利です。

ただし、紹介や要約は、元の研究の条件や限界を省いていたり、結果を強めに言い換えていたりすることがあります。レポートで使うときは、

  • 元の論文を探して、自分で読む
  • 出典には、紹介の記事ではなく、元の論文を示す

ようにします(「一次資料と二次資料」)。AI が作った要約や解説も同じです。AI の要約は出典になりません(「AI の答えを確かめる手順」)。

運営者からの案内:Psycholo Mag

このガイドを運営する Psycholo Studio は、心理学の新しい論文を紹介するメールマガジン Psycholo Mag を配信しています。

  • 心理学の学術誌に載った新しい論文を、生成 AI が日本語で解説し、毎朝メールで届けます
  • 曜日ごとに分野を分けて(理論・方法、行動科学・認知科学、発達・教育、感情・生理、パーソナリティ・社会、臨床・健康)取り上げ、日曜日には、多く引用されてきた古典的な論文も紹介します

新しい論文に、日本語で手軽に触れる入口として使えます。上に書いたとおり、解説は入口です。気になった論文は元の論文を読み、レポートで使うときは元の論文を出典にしてください。

くわしい内容と購読の条件は、Psycholo Mag のサイトで確かめられます。

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