学ぶための文献と、主張を支える文献:教科書・総説・個別の論文

文献には、分野やテーマを学ぶための文献と、自分の主張を支える根拠にする文献があります。教科書と事典、総説(レビュー論文)、個別の論文の役割の違いと、総説の探し方、総説から個別の論文へたどる方法、気をつけることを紹介します。

文献を探すときは、その文献を何のために読むのかを意識しましょう。文献には、大きく分けて二つの役割があります。

  • 学ぶための文献:分野やテーマの全体を知り、基本の考え方や用語、これまでの研究の流れをつかむ
  • 主張を支える文献:自分の問いに答えるための根拠にする

教科書を何冊読んでも、それだけでは小さな問いに答える根拠は足りません。反対に、いきなり個別の論文を読み始めると、その研究がテーマ全体のどこに位置するのかがわからず、読み違えやすくなります。二つの役割の文献を、順に読み分けます。

三つの段階

文献役割読んでわかること
教科書・専門の事典分野を学ぶ基本の考え方、用語、代表的な研究
総説(レビュー論文)テーマを見渡すそのテーマで何がわかっていて、どこで意見が分かれ、何がまだわかっていないか。どの研究が重要か
個別の論文(原著論文)小さな問いに答える根拠になる誰が、何を、どう調べ、何が示されたか。その研究の条件と限界

上の二つは、主に学ぶための文献です。三つ目の個別の論文が、主張を支える文献の中心になります。これは「一次資料と二次資料」の考え方と同じです。教科書や総説は二次資料、個別の論文は一次資料にあたります。

総説は、テーマの地図

総説(レビュー論文)は、あるテーマについての多くの研究を集めて整理し、何がわかっているのかをまとめた論文です。教科書よりも新しく、一つのテーマにしぼってくわしく書かれています。たくさんの研究の結果を数量的にまとめたメタ分析も、これに近い役割を持ちます。

総説を一本読むと、次のことがわかります。

  • そのテーマの研究が、どんな問いをめぐって進んできたか
  • 代表的な研究と、その結果
  • 研究どうしで、結果や解釈が食い違っている所
  • まだ確かめられていないこと(問いの種になる。「問いの立て方」)

総説の探し方

  • 検索の言葉に「review」「総説」「展望」を足す(「forgetting interference review」など)
  • データベースで、文献の種類を「総説」や「メタ分析」に絞る(使えるかどうかは、データベースによります)
  • 総説を多く載せる雑誌に当たる。心理学なら、英語では Annual Review of Psychology や Psychological Bulletin、日本語では『心理学評論』など
  • 教科書の章末の参考文献から、新しめの総説を探す

総説から、個別の論文へ

小さな問いに答えるには、個別の論文が必要です。総説で、自分の問いに関わる研究を見つけたら、その論文を探して読みます。

  1. 総説の中で、自分の問いに関係する段落を見つける
  2. そこで引用されている研究を、総説の参考文献の一覧で確かめる
  3. その論文を探して、自分で読む(「文献の探し方」)
  4. 読んだ論文の参考文献や、その論文を引用しているあとの研究をたどる(「文献の探し方」)

個別の論文では、総説が一文でまとめていた研究の、条件や方法、限界まで読めます。小さな問いに答えられるかどうかは、こうした細かい所で決まります。

気をつけること

  • 総説の要約だけで、個別の研究を引用しない:総説で紹介されていた研究を、元の論文を読まずに引用するのは孫引きです。元の論文を読んで引用します(「一次資料と二次資料」)
  • 学んだ説明を使ったら、出典を示す:教科書や総説で学んだ説明や整理を、レポートの本文で使うなら、それも出典として示します。読んだだけで本文に使わなかった文献は、参考文献の一覧に載せません(「引用の書式」)
  • 総説も、いつ書かれたかを見る:古い総説のあとに、新しい研究が出ていることがあります。発行年を見て、そのあとの研究も探しましょう

読みながら、どの文献を何のために読んだのかを、ノートに書き分けておくと、あとで引用するときに迷いません(「文献の読み方とノートの取り方」)。

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