AI への相談のしかた:段階ごとの頼み方の例
AI は、代わりに書いてもらう道具ではなく、自分の考えを確かめる相談相手として使うと力になります。課題の読み解きから推敲まで、段階ごとの頼み方の例と、答えを受けたあとの考え方、避けたい頼み方を紹介します。
AI に相談するときの基本は、考えるのは自分、AI は考えを確かめる相手ということです(「AI を使った執筆の進め方」)。この使い方では、AI に答えを出させるのではなく、自分の考えを AI に確かめてもらいます。そうすることで、自分の考えの穴や、見落としている視点に気づくことができます。
使う前に、授業で AI の利用が認められているか、どこまで認められているかを必ず確かめてください。
段階ごとの頼み方の例
課題を読み解く
この課題文で求められていることを、指示ごとに分けて挙げてください。私の読み取りは「〜」です。抜けているものがあれば教えてください。
自分の読み取りを先に書いてから尋ねると、AI の答えと比べて、自分が何を見落としていたのかがわかります(「課題に答える」)。
問いを絞る
「寝る前の SNS の利用は、大学生の睡眠の質を下げるか」という問いで、2,000字のレポートを書こうとしています。広すぎたり、あいまいな言葉が含まれていたりしますか。
この問いに答えるために確かめるべき小さな問いを、私は二つ考えました。ほかに必要なものはありますか。
(「問いの立て方」)
構成を点検する
このアウトラインで、問いから結論までの流れに、抜けや飛躍はありますか。書き換えた案は出さずに、問題のある所だけを指摘してください。
(「アウトライン」)
反論を探す
私の主張は「〜」で、理由は「〜」です。この主張に対して、どんな反論が考えられますか。強いものから三つ挙げてください。
挙がった反論にどう応じるかは、自分で考えます(「反論と再反論」)。
段落の読みにくさを見つける
この段落で、読み手がつまずきそうな所を指摘してください。直した文は書かないでください。
用語や考え方を理解する
「逆向抑制」とは何かを、大学1年生にわかるように説明してください。
AI の説明は、理解の入り口にとどめます。レポートに書くときは、教科書や論文で確かめた内容を、その資料を出典として書きます(「AI の答えを確かめる手順」)。
頼み方のこつ
- 自分の考えを先に書く:「私はこう考えたが、どうか」と尋ねると、AI の答えを自分の考えと比べられます
- 書き換えないように頼む:「直した文は書かないで」「指摘だけを」と添えると、直すのは自分、という形を保てます
- 目的と条件を伝える:課題の種類、字数、読み手(授業の先生)などを伝えると、的外れな答えが減ります
- 一度で終わらせない:答えに対して「なぜそう考えたのか」「ほかの見方はあるか」と重ねて尋ねます
答えを受けたら
AI の答えは、正しいとは限りません。もっともらしい誤りや、課題とずれた指摘も混ざります。
- 鵜呑みにしない:指摘の一つ一つが、本当に自分の文章に当てはまるかを考える
- 採るか、採らないかを自分で決める:採らない指摘があってかまいません
- 自分の言葉で直す:AI の出した言い回しを、そのまま写さない
- 事実は元の資料で確かめる:AI が挙げた事実や文献は、必ず確かめてから使う
避けたい頼み方
| 頼み方 | 何が問題か |
|---|---|
| 「このテーマでレポートを書いて」 | 自分で書いたものではなくなり、不正にあたる(「レポートの不正」) |
| 「この段落をもっと上手に書き直して」 | 直した文を写すと、自分の文章ではなくなる |
| 「この主張を支える文献を5本挙げて」 | 実在しない文献が混ざることがある(「文献の探し方」で探す) |
| 「この実験の結果を考察して」 | 考察を書かせることも、本文を書かせること(代筆)にあたる。考察は、レポートでいちばん自分の力が問われる部分 |
AI を使ったら、授業で求められていればもちろん、求められていなくても、その使い方を書き添えておくと誠実です(「AI を使ったことの書き添え方」)。下書きを AI に貼るときは、入力してよい内容かを先に確かめます(「AI に入れてはいけない情報」)。