大学のレポートとは:作文や感想文との違い
大学のレポートは、高校までの作文や感想文とは求められるものが違います。レポートに欠かせない「問い・主張・根拠」と、1年生がつまずきやすい点、このガイドを読む順番です。
大学に入ると、多くの授業で「レポート」を求められます。ところが、高校までに書いてきた作文や感想文と同じつもりで書くと、思ったような評価がもらえないことがよくあります。まずは、大学のレポートが何を求めているのかを押さえましょう。
作文・感想文と、何が違うのか
| 作文・感想文 | 大学のレポート | |
|---|---|---|
| 中心にあるもの | 自分の体験や気持ち | 問いと、それへの答え(主張) |
| 支えるもの | 自分の実感 | 資料・データ・文献などの根拠 |
| 読み手 | 先生や身近な人 | その分野を学ぶ人(専門家も含む) |
| よい文章とは | 気持ちが伝わる、心に響く | 筋道が通っていて、確かめられる |
| 文体 | です・ます調も多い | である調が基本 |
いちばん大きな違いは、レポートでは「どう感じたか」より「何が言えるか」が問われることです。感想を書いてはいけないわけではありませんが、書くとしても、問いへの答えを示したあとに、ごく短く添える程度にとどめます。
レポートに欠かせない三つ
論証型のレポートでは、次の三つがそろっているかが見られます(説明型の課題では、主張の代わりに、整理の観点と、整理から言えることが中心になります)。
- 問い:このレポートで何を明らかにするのか
- 主張:その問いに対する、自分の答え
- 根拠:答えを支える資料やデータ(答えと根拠をつなぐ「理由」も含めて示します)
「〇〇について調べたことをまとめました」という文章は、問いと主張がないので、レポートとしては物足りません。調べたことは、自分の答えを支える材料として使います。「まとめなさい」「説明しなさい」という説明型の課題でも、何を明らかにする説明なのかという問いと、整理の観点は必要です(「説明型レポートの書き方」)。
問いの立て方は「課題に答える」で、主張と根拠のつなぎ方は「論証」でくわしく紹介しています。
1年生がつまずきやすいところ
感想で終わる
「とても興味深いと感じた」「これからも考えていきたい」で締めくくると、何を主張したのかが残りません。結論には、問いへの答えを書きます(「結論の書き方」)。授業ごとの短い感想の課題は「授業の感想を書く課題」を見てください。
ネットの記事をつなぎ合わせる
検索して見つけた記事の文をつなぎ合わせると、どこから取った文なのかが読み手にわからないうえに、自分の考えも入りません。出典を示さずに他人の文章を使うと、剽窃(ひょうせつ)という不正にあたります。資料の使い方は「根拠と引用」を、不正とされることは「レポートの不正」を読んでください。
「私は〜と思う」が続く
「思う」を重ねると、根拠のない意見に見えてしまいます。根拠を示したうえで、その強さに合わせて「〜と言える」「〜と考えられる」と書き分けると、どこまで確かな主張なのかが読み手に伝わります(「論証」の「言い切りの強さをそろえる」)。言い回しは「文体と表記」にまとめてあります。
思いつくままに前から書き進める
一つの文から連想して次の文を書き、その文からまた次の文を、と書き進めていくと、話はいつの間にか別の方向へ流れ、結論が最初の問いに答えていない文章になります。書き始める前に、問いと答えと理由の骨組みを決めておきましょう(「アウトライン」)。
締切の前の晩に書き始める
レポートは、資料を読み、考え、書き、直すまでに時間がかかります。前の晩に書き始めると、直す時間がなくなります。日程の立て方は「提出までの段取り」を参考にしてください。
このガイドを読む順番
締切が近く、まず全体の流れをつかみたい人は、「論証型レポートの書き方」から読み始めてください。課題を受け取ってから出すまでを、ひと通りたどれます。
はじめてレポートを書く人は、次の順に読むと全体の流れがつかめます。記事の下の「次へ」で、細目も含めて目次の順に進むこともできます。
- レポート・論文・エッセイの違い:出された課題がどの種類かを知る
- 提出までの段取り:締切から逆算して日程を立てる
- レポートの不正:してはいけないことを知る
- AI を使った執筆の進め方:AI を使うときのルールと、使い方を知る
- 課題に答えると問いの立て方:課題文を読み、答えられる問いを立てる
- 文献の探し方と文献の読み方とノートの取り方:根拠になる資料を集めて読む
- 執筆の準備:道具とファイル、ページの設定を整える
- アウトライン:書く前に、問いから答えまでの骨組みを設計する
- 序論の書き方・パラグラフ・ライティング・結論の書き方:序論・本論・結論を書く(全体の形は「構成」)
- 論証:主張と根拠をつなぐ
- 根拠と引用と言い換え(パラフレーズ):資料を正しく使う
- 文体と表記:文を整える
- 推敲の確認リストと文書の体裁:出す前に確かめる
書くことに慣れてきたら、「考え方を深める」の記事と「誤謬」も読んでみてください。レポートの考え方が、一段深くなります。
- 批判的に考える:鵜呑みにせずに確かめる考え方と、よくある誤った批判
- 「私」の視点と、私がいなくても成り立つ議論:レポートでの「私」の扱い
- 論文の文章と、ほかの文章:論説・提言・啓発との違い(結論が警句にならないように)
- 日常と意味が違う言葉:「批判」「考察」などの学術での意味
- 誤謬:論証のよくある落とし穴
- レトリックとの向き合い方:飾りではなく、根拠で説得する
授業ごとに決まることは「授業ごとに確かめること」で確かめ、わからなければ「先生への尋ね方」を参考に尋ねましょう。まとめる課題なら「説明型レポートの書き方」を、実験レポートを書く人は「実験レポートの書き方」を読んでください。完成したレポートの形を見たいときは「見本のレポート」を、添削を受けたら「添削とコメントを生かす」を、迷ったときは「よくある質問」を見てください。
一度に全部を覚える必要はありません。書きながら、迷ったところを読み返してください。